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<<   作成日時 : 2013/10/02 07:00   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 8

私のブログのプロフィールの住所欄には『山のあなた』と書いてある。
嘘でも扮飾でもなく、我が家のある町は山に囲まれた辺境の田舎である。まあ古来『鄙の地』とかいう言い方があるらしいが、言い方を変えても歴とした厳然とした田舎であることに違いはない。

何故そんな場所に住む様になったのかは、ハッキリ土地が安かったから…という他はない。
いやいや、一つ付け加えるなら奥様の実家がある場所だったからでもある。

子供を育てるにあたって爺様婆様の存在は大きく、親に怒られた時の子供の逃げ場は確保しておかなければならない。昔の大家族とはそれなりの理由があっての事なのだ。
と、いう訳で我が家の子供達も怖いお母さんから叱られた時には、逆ギレ気味に「婆ちゃんトコへ行くっ」と言い捨てて逃げていったものだ。

ともあれ山里に住む様になってから悲喜こもごもあるけれども、隣家に咲いているミョウガの白い花を見ると色々と思い出すことがある。
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他所から来た人間が田舎に住む時に何が重要かと言えば『近所付き合い』だろう。
奥様はこの土地に生まれ育った人間だから、近所の人達と親しく付き合うことに何の苦労もない。だが私はハッキリ言ってヨソ者である。それも愛想も良くないし、口数も少ないという困ったヤツだったし。

そんな野郎を受け入れてしまった義父や義母が面食らった事は想像に難くないが、可愛い娘が連れてきた奴だからと諦めた様で、さぞかし本心では『敦盛』でも舞いながら『是非も無し』と言いたいところであったろう。

近所の人達も人見知りなのか不遜なのか判らない若造に対して、親切にも色々と話しかけてくれたり行事に誘ってくれたりした。その中でもとりわけこの隣家に住んでいたおじさん(当時は今の私より若かった筈だが)は、この傲岸不遜風な奴に色々と声をかけてくれたのだった。例えば「○○に一緒に行かんか?」とか「畑で採れた○○を持っていかんか?」と。
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それは全く土地勘のない人間にとってとても嬉しく、自然に近所で頼る人の筆頭になってしまっていたのだった。おじさんにしてみたら困った子がやってきたモンだと、さぞかし迷惑だっただろうが…。
それから一緒に道普請に行くわ、盆踊りの櫓立てに行くわなど色々と地元の行事に参加する様になっていった。

ある日家に帰ってみると奥様がボロボロと涙を流していた。
そのおじさんが仕事先で転落事故に遭い亡くなったのだという。
事の顛末を詳しく聞こうとしたのだが、初めは目に涙を溜めてただけだったのに話が核心に近づくと、涙声で話が出来なくなってしまった。何故ならおじさんの家には年老いたお袋さんがいて今後その世話を誰がするのだろうと考えると、切なくてたまらなくなってしまったらしい。
と言っている私も大きな喪失感で一杯だったのだが…。

その後色々とあっておじさんの家には誰も居なくなってしまったけれど、家や庭を見ると今でも誰か住んでいる様に当時のままの姿を残している。そしてその庭には大きく育ったミョウガが見事な花を咲かせているのだった。
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今でもそこを通る度におじさんが犬の散歩をさせながら「今日は涼しかったのう」と声をかけてくれる様な気がする。
そして今でも「ちょっとお邪魔しますよ」といいながら、梅の花や彼岸花の写真を撮らせて貰っている。




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ガッツ(がんばれ!)

コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは! 子育てをする場合、奥様の実家に近いほうがいいように思います。そのために自分が慣れ親しんだ地を離れることになっても、結果としてそうしたほうがいいような気もします。仕事さえうまくできるのなら、そうしたいですよね。

その意味でNoriさんは最良の選択をなさったのではないですか。ほとんど顔見知りのいない所で、お隣の方との良い関係にも恵まれたのは素晴らしいことだと思います。
只野乙山
URL
2013/10/02 10:18
乙山先生 コメント有り難うございます。

いやいやそんな大したことはしておりませんよ。
今の職場も嫁の実家周辺から通うのが便利だったということが原点でもありますし…。
まあおかげて子供達の逃げ場所が確保出来たのは良かったと思います。

それと田舎はどうしても排他的な側面もあって、家を建てて住む様になって初めて地元の人間として認めて貰ったというのも事実です。
最近はこの近辺にもIターンで都会から来る人もボチボチあるのですが、「他所から来た人は付き合いが悪いのう」と同意を求められたりします。
そんな時は「私もヨソ者ですけど…」という言葉をグッと飲み込んで「ですねぇ」とニコニコしています。
Nori
2013/10/02 11:24
私なんか嫁さんの実家の近くどころか、実家に住んでいますからね・・・近所の方々とはやはりなかなか・・・という感じもありますがそこはまあ嫁さんに任せてって感じでなんとかやっています。

それにしても茗荷ってこんなきれいな花を咲かすんですね。
わたしなんか、食べちゃう方が専門で・・・花の咲いたのは見たことがない・・・宮城に実家には植えてあったので花を咲かせていたはずなんですが、どうにも思い出せません。
三友亭主人
URL
2013/10/02 23:20
最初にカミサンを連れて東京に転勤になった時
自分の実家近くに住むことになって
ともかくカミサンに配慮して「スープが冷める距離」に
居を構えました。
「スープが冷めない距離」だと嫁姑のスパークが怖くって。

今は東京ど真ん中の一人暮し。
何の気兼ねもない変わり、ドライな毎日です。
根岸冬生
2013/10/03 11:34
三友亭主人さん コメント有り難うございます。

私も日頃の細かい近所付き合いについては奥様に任せております。実際私が出て行くより奥様が出て行った方が丸く収まる事が多かったりします。
ちょっと切ない話ですが。

この隣家のミョウガは根本を荒らされる事がないので、背が高くなってこんな花を咲かせます。
ホントは主が定期的に根本を触ってやるべきなんでしょうけど…。
Nori
2013/10/03 19:52
根岸さん コメント有り難うございます。

ああ確かに旦那の実家との距離はあった方が、お互いの幸せになる場合が多いようですね。
私は世間で言う「マスオさん状態」に近い環境ではありますが、多少の問題をクリアすれば非常に楽だったりします。

まあ私の実家の周囲には、私が色々やってきた事を未だに記憶している人たちが沢山居るので非常に窮屈だと言う事もあるんですけどね。
Nori
2013/10/03 20:01
このおじさんのような方が近所にいると、住む場所の印象もとても良くなりますよね。とくに他から移ってきたNoriさんのような立場だと、こういう自然体でいろいろ気にかけてくれる人の存在は大きいですね。僕もスコットランドにきて、人の親切心に触れるたびにだんだんこの土地が好きになってきてます。おじさんの庭の花きれいですね。
僕も実家から徒歩五分のところに祖父と祖母が住んでいたので、家で怒られるとよく逃げてました(笑。Noriさんの文を読んで、優しかったじいちゃんとばあちゃんのことを思い出しました。
sleepysea
URL
2013/10/05 06:28
sleepyseaさん コメント有り難うございます。

仰有る通りこのおじさんのお蔭で、この土地に何とか無事に住める様になりました。気さくで明るいこのおじさんが居なかったら、地区の催しや道普請などには行かなかったと思います。
そしてこのおじさんだけでなく、色々な人の親切があったお蔭だとも思います。
そして今おじさんの家の庭には、たわわに柿の実がなっています。取る人が居ないのはちょっと勿体ないんですけどね。

ちなみにウチの子達は今でもなんかあると、優しい婆ちゃんのところに顔を出しに行きます。
長女は一人暮らしをしているのですが、食べたいものを聞くと決まって婆ちゃんの料理だったりしますので、奥様としたらちょっと複雑な気持ちがするらしいんですが…。

これを見るにつけ子供を育てるには年寄りの存在が不可欠なんだなと思います。
Nori
2013/10/05 10:54

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