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zoom RSS 許される嘘もある

<<   作成日時 : 2013/11/28 07:00   >>

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我が実家の家訓に『常に正直であるべし』とある。
子供の時から大人たちに「嘘はいけないよ」と諭されながら成長した。
これは私に限った事ではなく私の同世代から上の方たちも、等しく大人たちから言われ続けた事だろうと思う。まあ今でも「バンバン嘘をつけ」と奨励する親なんてレア・ケースであるに違いない。

私がこの山里に暮らすようになってから、初めてこの世にはついても良い嘘があると教えられた。それはこの土地に古くから住む年寄り(といっても当時60年配の方)から教えられた事だった。
但しこれには条件があって、特定の時期に特定の状態の時に限られる。常時良いという訳ではないのである。でもエイプリルフールなどではない。

『松茸の嘘は許される』というのが、謂わばこの里の不文律になっている様なのだ。
周知の事だろうが、きのこ類を山で採取する場合に各々が何時も獲れる場所を黙して語らない。誰しも秘密の場所を知っていて、自分の子供以外にその場所を教える事など決して無い。いわゆる一子相伝。まるで北斗神拳。
もしも他人が教えてくれるとしたら、それはみんなが知っている公共の場だと思って良い。
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地元の人達が実際に松茸を採りに行く時には、誰にも知られないように山に入る。それはアジトから出る時に外をうかがうドラマの悪人さながらに。壁に隠れ右を見て左を見て。
万が一尾行されていると気付いた時には、真逆の方向に延々と歩いて相手をまいたりするという。

冗談に聞こえるかも知れないが、秋の時期に何時もこの山里で繰り広げられる光景なのである。駆け引きはスタート直後から始まっているのだ。
忍びの里かここは。

普通山からそれらしい格好をして下りてきた人を見かけたら、「松茸は有ったかね?」と聞きたくなるのが人情というものであろう。
だがそんな場合に返ってくる答えというのが「いやいや、アカンかったわ」と相場が決まっているのである。たとえ山の様に採ったとしても「一杯有ったで」とは絶対に言わない。
そりゃそうでしょ。そんな話を聞いたらタカリに来るか、常時行動を監視されるかのいずれかである。
内心ガッツポーズを決めていても、飽くまでもクールに「ないなあ」と悔しそうに苦笑いをするのが礼儀となっている。決してスポーツマンシップにもとるからじゃないのは言うまでもない。
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これは大阪船場地方の日常の挨拶で「儲かりまっか?」と問われれば、「さっぱワヤですわ」とか「ヤヤ子の行水ですわ」と応えるのと同じ思想であろう。
ちなみに『ヤヤ子の行水』とは泣いてばっかり(負けてばかり)というシャレである。
ただ松茸の場合「ボチボチでんな」などと答えたら、「こいつ沢山採って来やがったな」とバレてしまうのは当然の帰結といえる。

と言う訳で今ブログに載せているのは断固として松茸の写真ではない。スーパーで買ってきたブナシメジの写真なのだ。

そしてそれを焼いたりすき焼きに入れたり、お吸い物にしたりして腹一杯になる位に堪能したなどという事は一切無い。

私は松茸についての嘘など、生まれてこの方ついた事がないのだ。





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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは! 松茸をとりに山に行く、などということは話に聞くことはありますが、実行したことはありません。そもそも、入っていい山があるとは思えなくて、勝手に山菜などをとるのも憚られるような感じがありますので。
松茸にかんする嘘の話、それはそうでしょう。だけど松茸狩りの実行の際、尾行された場合は迂路を通って巻くようにする、とは笑ってしまいました。
なるほど、ブナシメジですね。これはどう見てもブナシメジだ、ということにしておくのがいちばんでしょう。
只野乙山
URL
2013/11/28 11:39
下手したら何十万の小遣いでしょうし、
大きな山だったら100万以上いっちゃうでしょう。
そりゃあ、教えられません。
もっとも僕は何年もマツタケを食べていません。
同じ希少価値でも、関西のほうがマツタケへの執念、
強いと思います。
記事を読んでいて大阪のおばちゃんの
「マッタケ」という発音が聞えてくるようでした。
うふふ。
根岸冬生
URL
2013/11/28 13:14
乙山先生 コメント有り難うございます。

山には誰が入っても良いオープンな所もあれば、特定の人間しか入れない場所もあります。全ては山主の意志によって決まるようです。国有林は林産物の全てを管理しており、一般人は入る事が出来ません。

知人に森林管理署に勤めている人がおりまして、彼らは逮捕権を持っています。山に人が入っていくと暫く泳がせておいて、下山口で待ち伏せしてから持ち物検査をするらしいです。
そして「逮捕か松茸か、どっちが良い?」と聞くらしいですよ。
世間では子供達が「いたずらかお菓子か」と聞く時期なんですが、この山里ではもっとシビアな二者択一を迫るようです。

みんな松茸を置いて行くらしく、後は皆さんで美味しく頂くと…。
Nori
2013/11/28 18:28
根岸さん コメント有り難うございます。

私も松茸御飯にお吸い物、最終的にはラーメンの具にするほど堪能はしておりませんよ。飽くまでも。
この山里に来てから買って食べる事もなくなりましたし、外食なんかのものに食指が動かなくなりました。

この山里は物質的に豊かかと聞かれたら、決して豊かではないと思います。ただ自然の恵みはとても豊かで、都市部では絶対にあり得ない食生活が送れるメリットがあります。

自分たちの分を差し引いた分の松茸なんかを朝市に並べておくと、大阪から来たやかましい人たちが「なんちゅう安さや」と驚いて買って行くみたいですよ。
やっぱり「マッタケ」って言ってますけど。
Nori
2013/11/28 18:42
松茸の嘘なんて、ほんのわずかの限られた人だけがつける
幸福な嘘でしょうね。もちろんそのためには森の管理など大事な苦労があるのでしょうが・・・

とはいえ、私の方は松茸など食べなれていないせいかあんまり食べたいと思う事もなく、自分にとってそれほど魅力のないものにあんな高値がつくのが未だ理解できず・・・もうちょっと食べる機会が多くなって、そのありがたみが分かる様になればわかってくるのでしょうが・・・

シイタケを焼いて、醤油をじゅっって行くのが私はいいなあ・・・
三友亭主人
URL
2013/11/28 23:03
三友亭主人さん コメント有り難うございます。

私も実家にいた時には余り身近ではなかったのですが、この山里に住むようになってから一気に身近なものになりました。
松茸だけではなく『ホンシメジ』等もここで初めて口にしました。

地元の人達は鍋の具にして食べる事が多く、入れると一味違った感じになります。松茸ご飯も小さいのを4つ割にしてゴロゴロ入れてますので、他所で食べるカンナで削いだようなものを見ると「これじゃ味がわからんだろう」と思ってしまいます。

自慢のように聞こえるかも知れませんが、単なる自慢です。
というのは冗談で、丹波地方のように名産地になっていないからこそ出来る事で、完全な商業ベースに巻き込まれたら地元の人達も食べられなくなってしまうでしょう。

この間リュックをパンパンにしたおばさんに「どうやった?」と聞いたら、案の定「アカンかったわ」と返事してくれました。
Nori
2013/11/29 08:52

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