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zoom RSS 旬を食べるということ

<<   作成日時 : 2014/04/19 12:00   >>

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去年も記事にしたが、今年も伊勢の叔父からボール一杯のハマグリを貰った。
いつも叔父は近くの海岸から採れたものを送ってくるので、市場を通さない文字通りの産地直送の品である。また本来的な意味の『ご馳走』でもある。
叔父は70半ばなので世間的には年寄りに分類されてしまうけれど、何時もにこやかで元気なので余り年齢を感じさせない。こんな歳の取り方も良いものだと思う。

ハマグリで連想するのは景行天皇が皇子ヤマトタケルの平定した東国へ行幸になり、安房の浮島の宮で磐鹿六雁命がその場で採れたハマグリを膾(なます)にして献上したという日本書紀の記述である。
『なます』というと現在は大根膾みたいな酢の物を連想するが、元々の意味は刺身の様に切って醤(ひしお)で味付けしたものだと想像される。今でも当の千葉県では刺身やタタキの事をなますと呼んでいるのはその名残だろう。
そして余りの旨さに磐鹿六雁命は宮中の膳部頭に任ぜられ『膳大伴部』の姓を与えられた。
余談だが同時に安房国を賜り、以来『大伴氏』が安房の国造となったという。まあこの辺は三友亭主人さんのテリトリーでありましょうから、縄張りを荒らさずにおきます。
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そんな風に古くから日本人に馴染みのある食材であるが、季語でいえば『春』になるらしい。この時期は冬に溜めた栄養と活動を始めた身の締まりのバランスが良く、全体的にぷっくりと育って一番旨いということだ。
そう言われたら夏場に浜茶屋なんぞで食べる焼きハマグリは、若干痩せ細っている様な感じがするのは気のせいだろうか。

一般的に旬というのは一番旨い時期と重ならない場合もあるようで、最近は天候も不順な事が多いからズレが生じるのは仕方のない事かも知れない。そして冷凍技術の発達によって旬のまま保存出来る様になって、季節とは関係なく一番良い状態のものを食べられる時代になっている。その上流通事情も向上して、その土地に行かなくても特産品を食べる事が出来る時代でもある。
そんな時代に旬を食べるという行為に意味を見出せるか…。

日本という国は四季の違いがはっきりと体感出来、それ故に季節の移り変わりに心を動かす人達が多いのだろうと思う。風流というものを解する素地が、季節の変化によって醸成されているのだと言って良い。
でも色々な技術の発達が季節感を喪失させていて、何時何処で何を食べても季節を感じることは少ない。これって幸せなことなのか。
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このまま行けば花の時期になっても花に心を動かさず、雪の時期になっても何も感じないような感性の人間が育って来はしまいか。情操の未発達なままの大人が大量発生してきそうな予感がする。
何と言っても折々の節句が簡略化されて、消えていきそうなのが現状でもあるから。
もう少し時代が下がると正月の鏡餅やらお雛様やら五月人形やらが、博物館に展示されてしまう事になってしまうかも知れない。
そして「昔の奴らは馬鹿なことをやってやがったな」と言われてしまうかも知れない。

などと難しい事を考えながら焼きハマグリを作った。少し粒の小さいものは酒蒸しにしてみた。
何でこんな事を考えながら料理しているのか自分でも可笑しかったが、我が家の歴史の伝承者たる末っ子が居なくなった事による寂しさからか…。

奥様と2人きりの食卓も悪くないが、ニコニコして食べる子供達がいないと作り甲斐が無い様な気もしている。

まだまだ子離れ出来ない今年の春である。










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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
いいですねえ・・・本当に立派なハマグリだ。
こんなに立派なのはけっこうしますから、なかなか口には入らないもんですが・・・うらやましい。

>元々の意味は刺身の様に切って醤(ひしお)で味付けしたものだと想像される

おそらくはこっちの方が原初的な使い方でしょうね。なますは漢字で「膾」と書きますが、論語なんかにも「食は精を厭わず。膾は細きを厭わず。」とありますからね。一般的には「米は精白の度合いを気にしてはいけない。なますは、その細さを気にしてはならない」なんて理解がされていて、過剰な贅沢を戒める言葉とされますが、解釈のしようでは「米は精白することを嫌がってはならない、なますは細く切り刻むことを面倒くさがってはいけない」なんて解釈も可能で、もし後者が正しいとすれば、孔子さんも結構グルメだったってことになりますね。
三友亭主人
2014/04/19 13:56
三友亭主人さん コメント有り難うございます。

私も叔父が採ってきてくれるもので何とか食べていますが、自腹で食べるかと問われれば非常に微妙でしょう。
因みに千葉では『水なます』という漁師料理があって、味噌を加えて叩いたアジの身を水で溶いて、ご飯の上にかけて食べるというものです。船の上では火を使えないからやっている事だという話です。
まあ外房の方に行くと今でも刺身の事をなますと呼んだりしているんですけどね。

しかし孔子先生の訓戒は厳しいものですね。
私なんかはどうやっても君子になれそうもありませんね。
回転ずし屋では刺身が薄いと「このカンナで削いだような刺身は何だ」といつも文句をたれていますので…。
Nori
2014/04/19 17:00
東京生まれの東京育ちとしては、子供の頃はよく貝のみそ汁を食べたものですが、最近はあまり食べませんねえ。新小岩に住んでいる頃は、船橋に潮干刈りに連れて行かれたものです。最近は、貝がしばしば外国産でなんとなく躊躇しちゃいます。
根岸冬生
2014/04/23 17:06
根岸さん コメント有り難うございます。

最近スーパーに売っているハマグリは、中国とか韓国で採れたものが多いようです。国産じゃないと買うのにどうしても躊躇してしまいます。
船橋やら浦安やらではアサリが沢山採れていたようですけど、最近はどうなんですかねぇ…。

一度食べた深川めしの味が忘れられないので再現しようとするのですが、なかなか上手いこといきません。
Nori
2014/04/23 19:55

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