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zoom RSS 伝説は遠い日の花火 サントリーオールド

<<   作成日時 : 2014/05/16 07:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 14

世間の評判とは面白いものだと思う。
ジョニーウォーカーの黒ラベルは高級洋酒の代名詞となり、長い間オーディナリーピープルの憧れであり続けた。そして現在は普通の人達が普通にスーパーで買える酒になって、それまで手が出なかった人達が挙って「大した酒じゃない」と言っている。
だが以前に記事にした通り、私は決してそうだとは思わない。

伝説には色々あって『ジョニ黒』が超高級品だった当時、日本国内で飛ぶように売れていた酒がある。一番売れた時には1240万ケースなどという信じられない出荷数を誇り、日本国内でウィスキーといえばこれと言われた酒だった。
それこそがサントリーオールドという酒である。

思えば子供の頃の印象的なテレビCMといえば、小林亜星氏の作曲した『夜が来る』のメロディに乗せて色々な大人たちの顔をクローズアップしていくものだった。「男がいる。女がいる」とか続けながら、最後には「サントリーがある」という台詞が来る。
それを見ながら「大人には色々な苦労があるのだな」と子供心に思ったものだった。
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サントリーの元となっている寿屋が本拠を関西から東京の日本橋に移してから、日本橋界隈の飲食店を対象にして大々的に売り込みをかけた。そして和食に合うウィスキーとしてオールドを定着させていったという経緯がある。
その当時とは方向性を幾度か変えたと言うから、味は当時とは異なっているいるのは判りきっているが、当時の大人たちの気分になれるか虚心に飲んでみたくなった。

色は浅めの琥珀色。トップノートは若干の甘い匂いと若いアルコールの匂い。それほど際立った香りはない。揮発性の高さを一番鼻に感じる。
飲み口は先ず甘さを感じる。この甘さの輪郭はボンヤリしていて、この間飲んだプレ角とは別の印象。そしてその甘みに酸味が寄り添う。味の山が平板なまま強めの渋みとスパイスが立ち上がる。ビターはそれほど強くない。刺激は強いがスパイスより揮発性の高さを感じる味。
余韻は微弱だがサントリー特有のマッタリ感と香り。ごく希薄な山崎。

いつものようにごく僅かの加水をする。刺激は柔らかくなり味の構成がはっきりする。
加水すると甘い香りも薄まり、アルコールの匂いが目立つ。口の中で香りは変化することはなく、甘みだけを強く感じる。そして甘みに付随する酸味。それからビターよりも勝った渋みが立つ。どこか馴染みのある味。スパイスも加水すると弱くなる。
当然それに伴って余韻も希薄になってくる。

ストレートでも若干の加水でも何処か馴染みのある感じがするのは、それは以前に飲んだオールドの記憶かと言えばそうではない。個人差があるから断言は出来ないけれども、私の味の記憶を辿れば梅酒の印象と重なる。

現在のオールドの原酒は大半が白州蒸留所の竹炭濾過のものだという。蒸溜直後のものを竹炭濾過するというのではなく、寝かした原酒を濾過するという事らしい。
ご存じの通り樽貯蔵によって硫黄臭や皮革臭・アンモニア臭などが芳香に変化する訳で、貯蔵した原酒を竹炭濾過してしまえば芳香も吸着されてしまうと考えるのは自然だろう。
では何故敢えてそんな事をするのか。
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おそらく若い原酒に残った悪臭成分を除去する為にやっていると推測される。まあ若い酒には悪臭成分というだけでなく、有害なアセトアルデヒドも未分解のまま含まれているから、竹炭濾過でそれを除去出来るなら一概に悪いこととは言えないが。
但し重要な香味成分も同時に希薄になるのは事実だろうと思う。

そして『響』のHPには梅酒貯蔵樽で熟成した原酒の存在が明記してある。
ここからは私の邪推でしかないけれども、竹炭濾過した熟成不足の原酒を梅酒樽に再貯蔵すれば、梅酒由来の渋みを付加することが出来るはずである。『樽由来の渋み』には違いないが木質性の渋みとは異なる訳で。

私だけがそう感じるのか不安になって色々な方のインプレッションを覗いてみたら、多くの方が「とってつけた様な」とか「不自然な」という形容詞を使用されている。サントリーの酒は基本的にマイルドなのだけれど、どこか突出した部分が必ずあるからそういった印象になるのだと思う。
でもボトリングに至るまでの余計な行程を見たら、色々と考えたくなってしまうのは無理からぬ事じゃないだろうか。

前記の通りこの酒が一番売れた頃の出荷数を見れば、何処にそんな数の原酒が有ったのだろうと不思議になる。
そして以前は「何も足さない。何も引かない」筈じゃなかったのかなぁと感慨に耽りつつ…。

色々な伝説のある酒であるが故に、普段よりも饒舌になったことをご容赦下さい。




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コメント(14件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは! オールドですね。これは思い出のあるウィスキーです。たぶん、いちばん初めに飲んだウィスキーではないかと思います。その頃の味と、今のオールドの味は違います。昔のオールドはかなり独特の味わいがあったのですが、今のオールドはその独特の部分が消えてしまい残念です。
只野乙山
2014/05/16 08:50
乙山先生 コメント有り難うございます。

仰有る通り何処へ行っても以前のオールドは良かったという話はよく聞きますね。
以前のものだとちゃんとウィスキー本来の味がして、スコッチ好きの人間にもおすすめだったらしいですね。

今飲むと食中酒としての性格を強く感じます。
今でも多くの飲食店ではオールドを提供するというのもうなずけます。舌触りも柔らかく余計な香りも立っていないという性格は、そんな用途を想定したものなんだろうと思ったりします。

でもウィスキーを飲む楽しみがあるかと問われれば、悲しいかな「それは薄いよ」と答えるしか…。

私ももう少し飲み応えがあると思ったんですけどね。
Nori
2014/05/16 09:16
もし機会がありましたら
わたくし、
旧ボトル(特級)を飲んでみたい
ですね!
現行品と比べてジックリ味わって
みたいです。
それまでは自分の中で
結論が出にくい酒でもあります。
近い内に現行品をまた飲んでみますね。
四の字硬目
2014/05/16 18:16
四の字硬目さん コメント有り難うございます。

現行のオールドは食中酒を意識しているようで、飲みやすいのは飲みやすいんですけど、何か少し足りないような感じがつきまといます。
旧ボトルも良いんでしょうけど、なかなか入手しづらいです。

これは乙山先生が仰有っている事で私も同感なんですが、オールドーパーは昔のオールドに近い味なんじゃないかと思います。ちょっと値が張りますが、一度飲んでみると良いかもしれません。

ただ枯れた味なので好き嫌いは別れるとは思いますが…。


Nori
2014/05/16 20:04
同感です。
はじめてオールドパーを近年
飲んだ時に、何だか懐かしさを
感じました。
サントリーオールドの味の記憶と多分
重なっているんだと思います。
オールドパーは大好きです。
ガツシリして飲み応えの中に
甘いシルキーさがあり、
スルスルと飲めてしまいますねぇ〜。


四の字硬目
2014/05/16 20:50
四の字硬目さん コメント有り難うございます。

オールドパーは私の基準になっている酒でして、色々な酒を飲みたくなったきっかけでした。
昔から変わっていないと思われるクラシカルな酒だったので、色々と飲み比べる面白さを教えてくれた酒でしたね。

時折思い返して飲みたくなることもあるのですが、今はまだ新しい酒との出会いが面白くて、なかなか原点には戻れてはいません。
今回オールドを飲んで、又飲んでみるのも良いかなと思っています。
Nori
2014/05/17 01:05
オールドは私がサントリーって会社のものをのなないと決めた時以前は、よく飲んでいましたね。まあ、よく飲んでいたといっても、比較的高価でしたから、給料が入った時とかの特別な時だけでしたけどね・・・
味は、よく覚えていないなあ・・・
CMはよく覚えていますけどね・・・
三友亭主人
URL
2014/05/18 08:33
昔、僕がバブリーだった頃。それは大阪支局時代……。よく、エライさんのお供で北新地に出入りをしておりまして、VSOPを当たり前のように飲んでおりました。ある時、大将のお供でやはり、麻雀のお供をさせていただいたおり、雀荘で出てきたのが、オールドでした。すると大将が、「オールドか……」と少しバカにしたつぶやきをした後、苦笑しながら「俺もエラクなったもんだ。オールドをバカにしちゃあいけねえな」と自嘲しておりました。

う〜〜む。石を投げられそうなコメントになったな。うふふ。
根岸冬生
2014/05/18 15:17
三友亭主人さん コメント有難うございます。

今はタダの安酒になってしまいましたが、昔は結構高いお金をとっていましたねえ。
味の方は兎も角、印象的なCMが多く中には傑作と呼ばれるものもありました。記事にある「顔がある」なんかもそうですが、「恋は遠い日の花火じゃない」とか「父の上京」とか…。

サントリーは昔からイメージを作るのが上手ですよね。
ニッカは逆立ちしても追いつかない部分です。
Nori
2014/05/18 18:37
根岸さん コメント有難うございます。

そういえば昔、ブランデーを飲むのがステイタスみたいな時期がありましたね。「ウイスキーなんて貧乏ったらしい」なんて言って、丸いグラスを掌で温めるように飲む人が結構いたような…。

ウイスキーよりブランデーが高級だなんて、今考えてもよくわからない理屈だなと。小売価格で全てが決まる訳でもないんですけどね。

何にしろオールドは普及化してから、一気に陳腐化したような感じがあります。
造り手のサントリーが売り出した「ブランデーVSOP」に駆逐されたというのは、何とも皮肉な話です。
Nori
2014/05/18 18:58
確かにウイスキーの原酒量の疑問はありますね。
昔週刊誌でオールドの販売量から見てモルトが足りているわけが無いから中身は怪しい、なんてのを読んだことがあります。
モルトとグレーンの比率は書いてないので若干調整はしてると思いますが、不正なことは多分してないでしょう。
kaz
2015/01/05 17:04
kazさん コメント有り難うございます。

一番売れていた頃のオールドの原酒については色々と憶測の飛び交う所ですが、私はスコットランドから輸入したものを使っていたという事ではないかと思います。
仰有るように買い入れた樽と若い酒を調整して、あの味を造り出していたりではないでしょうか。

ともあれ日本で一時期最も売れたという歴史もありますし、現在の変わってしまったブレンドが少し残念な気がします。
限定で復刻版とか出してくれないか…と思ったりします。
Nori
2015/01/05 22:54
ええっ、これ昔は「上がり」の酒だったんですよ。新米はトリス、管理職になって初めてオールドが飲めるってやつ。部長ならリザーブです。ローヤルは飲めません。普通はオールドが終点。ま、トヨタのクラウンですね。

今ではアタシみたいなヤクザなペーペーでも、クレヴァジェとかマッカランとか飲んでます。ハイニッカの方がうまいとかほざいたりね。(そういえば、ハイニッカと値段変わらん!昔は6倍以上だったのに。)自家用車だってBMW。

エゲレスがEU抜けて、中国が日本を脅かすぐらいになって……時代は変るもんですね。
gkrsnama
2016/07/20 00:54
gkrsnamaさん コメント有り難うございます。

昔はオールドといえば高級酒のカテゴリーに入っていましたね。
今は普通にコンビニなんかに並ぶ酒になってしまいましたけれど、サラリーマンのステータスシンボルだったと私もよく聞きます。
酒税法が改正され安価なスコッチが市場に出回ったお蔭で、方向転換を余儀なくされてしまったのだと思います。
仰有る様にハイニッカと値段はさして変わらなくなってますし。

自動車にしても若者がスポーツタイプよりミニバンを選ぶ様になったかと思えば、猫も杓子もハイブリッドカーに乗る時代になり、最近では若者がクルマにステータス性を感じないという時代になってきました。

時代が変わっても変わらない…というのはとても難しい事なのだと思います。
Nori
2016/07/20 08:27

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