この辺りの者でござる…

アクセスカウンタ

zoom RSS 秋口から年末拾遺 その2

<<   作成日時 : 2016/01/17 07:00   >>

面白い ブログ気持玉 3 / トラックバック 0 / コメント 2

目算というのは往々にして狂いがちなものである。
前回の記事にも書いたが、有名な選手達が走るコースの一部でも体験してみたくなり、身の程知らずにもフラっと自転車で向かったのだった。
ただ私がそこに到着するには実際のレースより長い行程を走らないといけない事は理解していたが、その道は本コースに劣らないほどの山岳コースだったと気付いたのは坂の途中からであった。
画像

実はそこに行きたかったのはそれだけの理由ではなく、山の斜面にある棚田の風景が有名な場所でもあったからなのだ。とは言えその時期に行ったとて稲刈りが済んだ後だから、一面の寂しい風景であろう事は想像出来たのだけれど。

例によって斜度9%の結構長めの坂を登っている途中の広目の路肩で休もうと思っていたら、丁度その先で電柱工事をやっていたのだった。それも片側相互通行にしていて、旗を振る警備員に手招きされて「早く通って」と言われてしまった。「休みたいのにぃぃ」と思いつつ出来うる限り踏み込んで通り過ぎようとしたら、「頑張って下さい」と思いがけず激励を受けてしまったのだった。
絶対休めないじゃん、これは。

そんな訳でかなりの無理をして登り続け、警備員さんが見えなくなった途端に自転車を降りてうずくまったのだった。一瞬別の世界が扉を開けかかっている様子が脳裏をよぎったのは言うまでもない。しかし男にとって見得をはる事も大切な事なのである。時には自分を傷付けても。
という訳で本来目的地で使うべき『足』を、到着する遙か以前でかなり使ってしまったのだ。本来私は無駄遣いが好きで『全日本無駄遣い選手権』というものがあったら、そこそこ良い成績を収める自信はあるのだが、この足の無駄遣いは後から強く後悔したのだった。
画像

そこからは度々大したことのない坂で休み、分かれ道に来たら休みを繰り返しつつボロボロになりながら目的地にたどり着いたのであった。
ふと時折耳にする『半死半生』というのはこんな状態なのだろうなと、変な納得の仕方をしてみたり。

棚田の休憩所でゆっくり持参の握り飯を取り出して休憩をとった。何と言っても以前にも書いた山の妖怪に取り憑かれては一大事なのだ。何かを口に入れておかないと。
すると大型バイクに乗った数名のライダーがやってくるではないか。
私は何か不吉な予感を感じつつ握り飯を頬張った。

やってきたのは私より年上の、自動車免許を取れば無条件の二輪免許が付いてくる世代、つまり世間では『ポツダム免許』と言われるものを持っているオッサン達だった。
中でもBMWに乗っているオッサンが偉そうに「今のモデルの排気音が気にくわない」とかどうでも良い蘊蓄を語る馬鹿野郎で、私の嫌な予感は図らずも的中した訳だ。
関わり合いになりたくなくて私は先に出発して、棚田の頂上に向かった。

頂上から平坦な道が続き次第に急な葛籠折れの下り坂になる。ここは自転車レースでは選手達が凄いスピードで下る場所である。なんたってオフィシャルのバイクや車が追いつかない位なのである。
下り坂の最初に棚田の全景が撮れる名所があり、そこでカメラを構えていたら先刻のオッサン達がやって来た。どうやら途中から私を追ってきたものらしい。
画像

私はオッサン達が走り出す少し前にその場所を出た。するとオッサン達も大きな音を響かせながら出発したらしい。後から音が聞こえる。
だが私はその時ロードの選手達さながらに、下り坂でも思いっきりペダルを踏み込んで走った。時速にして50q/hから60q/hくらいは出ていたかも知れない。そんな速度で葛籠折れの坂を下った。

最初は聞こえていたバイクの音が全くしなくなった。振り返っても誰も居ない。
坂の終わりに信号機があって「後を付けられたらイヤだなぁ」と思っていたのだが、赤信号で停車中も誰も追いついてこなかった。信号が青に変わって走り出しても、誰も私に近付いては来なかった。つまり「ちぎってやった」という事だろう。
偉そうな事を言っても所詮『ポツダム免許』か、と呟きつつ帰路についたのだった…。

しかし帰りの山岳ルートでは地面を這いつくばる様に、通りすがりの人が「こいつヘロヘロだな」と判るくらいの絵に描いた様なヘロヘロ状態で家に帰ったのだった。
途中で何度も「帰れないかも知れない」と思いながら。




テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 3
面白い
ナイス
ガッツ(がんばれ!)

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
見栄を張るのも
男ならでは。

時々道路沿いで女性や子供に
「早っ!」て言われると
必死に頑張ってしまいますが
すぐにバテて足が攣り
見えないところ(ここがポイント)で
休んでいます。

ウィスキー初心者
2016/01/21 23:01
ウィスキー初心者さん コメント有り難うございます。

記事にある警備員さんの前を通り過ぎる時は、何事もないような涼しい顔をしていたのですが、その後流石に目の前が真っ白になりましたねぇ。
人のいない林道では路肩に座り込んで、ゼエゼエ言いながら動悸が収まるのを待ってたり出来るのですが、幹線道路ではそんな事も出来ずに意地になってペダルを回しています。

流石にこの時の帰り道ではボロ雑巾のようになってましたので、車で追い越していった人達は「こいつアカンのと違うか」と思ったのではないでしょうか。

確かにまさにアカン状態だったのは言うまでもありませんけど。
Nori
2016/01/22 09:04

コメントする help

ニックネーム
URL(任意)
本 文
秋口から年末拾遺 その2 この辺りの者でござる…/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる