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zoom RSS 赤とんぼの飛ぶ国

<<   作成日時 : 2016/11/27 07:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 2 / トラックバック 0 / コメント 4

このブログで故意に避けている話題がある。
『建築噺』のカテゴリーで時折ちょっと触れてはいるものの、極力ポリティカルな事を主張しないように心掛けてはいるのだ。自分なりの線引きとして。まあ同業者の諸先輩からは「ラジカルなヤツ」と言われているのだけれど。
でも今回は各地で収穫祭が行われている時期であることを踏まえ、敢えてそんな話題を。

今までの記事にもある通り、国産建築資材は瀕死の状態であって森林国と自称しているにも関わらず、木材さえ文化財保護・修復に足る状態にない。ましてやその他の資材については目を覆わんばかりの惨状である。
過去には一番身近で入手しやすい材料であったはずの藁ですら入手が難しいのだ。
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その一方で地方に行って目に付くのは、到る所に張り巡らされた害獣避けの電線と荒涼とした休耕田である。日本全体の人口が減少の一途を辿っているにも関わらず、人口が都市部に集中して田舎には年寄りしか居ない。限界集落と呼ばれる集落は一部の山村の話だったのが、現在は全国到る所に見られるようになってきている。
農業従事者は高齢化し後継者のない耕作放棄地は増加して、日本の農業は国を支える事が出来なくなりつつある。

あの日本の原風景として取り上げられる『棚田』も、ボランティアの手がないと維持出来ないという現実をみんな語りたがらないのだ。

以前は第一次産業従事者が産業人口の殆どであったのが、時代が下るに従って減少して第二次産業や第三次産業に取って代わられた。個人の所得が増えれば第三次産業の従事者が多数を占めるようになるというのは、まんまペティの法則の通りではあるけれど、効果的な手を打ってこなかった政府には大いに文句がある。
今更TPP反対だの保護貿易維持だのと言わないにしても。
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そもそもアメリカの占領下で行われた『農地解放』は小作人保護のために行われた政策ではなく、日本農業を崩壊させる事を意図して実行されたものと考えられるのだ。
アメリカの農業と言えば広大な土地と機械化された、コストの低い農産物を生み出す効率的な農業を特色とする。対して日本の農家は農地整理で比較的大きな田地になったとはいえ、小規模農家の集合体でコストの高い農産物しか生まれない仕組みになっている。
日本の農家がアメリカの大規模農業に対抗するには、コストを下げるか付加価値を付けて商品価値の高いものを作るかの二者択一しかない。

もう一つ付け加えると昭和20年代末期に米国政府はPR用映像の中で、日本国民の食生活を米主食から小麦へ移行させるから、小麦の増産を進めていくのがベストだと語っている。
これはアメリカインディアンやハワイネイティブの人達に対してやったことと同じなのだ。そしてブログ仲間の根岸冬生さんの記事にある沖縄の食文化の変容にも合致する。
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経済原理に従うならば農家は全て廃業して安い輸入物を買えば良いという結果になるが、輸入の農作物は何時までも輸入出来るとは限らない。他国との関係悪化によって全て止まってしまうことだってあるのだ。
現に大東亜戦争時には色々な物資が禁輸になって、産業が成り立たなくなった事を知らない人は居ないだろう。

難しい話はボチボチとして、周知の通り現在の日本の食糧自給率は30%そこそこである。
以前から言っている話だが、第一次産業は国の根本を支える産業なのであって、他人任せには決して出来ない領域なのだ。第三次産業だけでは国が成り立たっていかない。これは重要な国家のセキュリティに関わる事なのだ。
だから農業というのは決して格好悪い仕事ではない、国を支える大切な仕事なのだと叫びたい。

元来日本は『豊葦原の瑞穂の国』とか『大葦原の豊秋津島』と呼ばれ、秋には豊かな稲穂が実り赤とんぼがその上を飛び回る美しい国である。

しかし行く所々で目に付くのは耕作放棄地というのでは、過去の偉大な先人達に顔向け出来ないではないか。

稲穂の上を赤とんぼが飛び回る日本の原風景を、私たちはいつまで目にする事が出来るのだろう…。




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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
昔の夢は、隠遁→百姓だったんですが、今の現実は、隠遁→ぐうたらになりそうです。

日本人は、バカ素直なんでしょうか。洗脳されやすい民族かもしれません。滅びに到るプログラムを案外、有り難がっているところがありますね。

食生活もさることながら、日本の原風景も大事にしたいですね。僕が人生、やる気に目覚めたのは、秋の田んぼに黄金色の稲がたわわに実り、風に揺られ、海の波のように黄金色の波がた靡くのを見てからです。理由もなく、価値ある人生を生きたい、力の限り生きたい、そんな衝動にかられ、涙を流したことがあります。日本人です。僕。
根岸冬生
URL
2016/11/27 12:27
根岸さん コメント有難うございます。

アメリカには長期的スパンで計画を組み上げられる賢い人間がいるようで、この辺りは日本人で太刀打ちするのが難しい部分ではないかと思います。

今話題になっている農業株式会社も平野部で広い農地だと採算ベースに乗りますが、山間部の農地ではそれが難しい様で、打ち捨てられるのだろうという予測しか立ちません。

根岸さんが仰有っている日本農業の風景を守り、自給率を上げるのに行政の出番だと思うんですがねぇ。

今の仕事を辞めたら、山の田んぼでもやろうかなと思ってます。
Nori
2016/11/27 22:53
>農業というのは決して格好悪い仕事ではない

確かにそう思うのですが、食っていけなければどうしようもない・・・というのが、正直なところなんでしょうね。経済性ばかり求める今日のこの国のあり方が問われている問題なのでしょう。
確かに経済性を抜きにしては何も語れぬところはあるのですが、一方では無秩序に経済一辺倒に流れようとするこの国のありように一竿ささねば・・・なんて大それたことを考えてみたりもするのですが・・・もともと器の小さい人間ですから、せいぜい酒を飲んで管をまくぐらいが関の山・・・
三友亭主人
URL
2016/11/30 23:13
三友亭主人さん コメント有り難うございます。

喰っていけなければ仕方がないってのは確かにあります。
単年度だけで見ると山間部の田畑は採算ベースに乗りにくいのですが、すこし長いスパンで見るとある程度採算ベースに乗ってくる事もあるのです。
問題はその間如何にして持ちこたえるのかという事。
そして米作ではそれが難しいという事です。

そして圧倒的に問題となってくるのが人手不足だったりします。
農家の後取りが居なくなって放棄する農地が多いという事は、深刻な人手不足という事を物語っています。
真面目に取り組んだら農業は結構儲かる仕事なんですけど、初期投資に耐えられる体力と人手の確保が大きな障壁になる様です。

一方でIターンなどで山間部の農村に来る人達も、特定のイデオロギーに凝り固まった人達がたまに居て、地元の方々との摩擦が問題になることも間々有ります。
いま世間でニュースになってる『大麻村』ってのも、そんな隙間を狙って入り込んだものでしょう。

と、こんな事を言ってるのも、好むと好まざるとに関わらず自治会長なる仕事を押しつけらたからでもあるんですけどね。
Nori
2016/12/01 10:04

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