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zoom RSS 義憤というのではないけど

<<   作成日時 : 2017/09/11 09:15   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 6 / トラックバック 0 / コメント 6

以前の記事にも書いたがブログの良い所は、自分の本音をじっくり書ける所にある。
記名の場所ではなかなか本音を語れない部分で、いにしへの先人である紀貫之氏の気持が若干理解できた気がしないでもない。
そんな訳でブログ復帰後間もない所ではあるが、自分の本音など書いてみむとするなり。

少し前の話題でもあるのでお忘れの方も多いかとは思う。
ニュースが多すぎると皆が忘れるスピードも比例して速くなるのは致し方のないことで、近頃は知人の元自衛官が『刃物を持った気○い』と表現する近隣国の話題で持ちきりだが、少し前に日光の東照宮修復工事について「三猿が酷い修復をされている」という話で、憶測を含む酷い意見がネットで飛び交っていた。
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「職人の腕が悪すぎる」だの「文化財の破壊だ」だの。
その中でも私が一番許せなかったのが「職人が自分勝手に彩色修復をやった」という意見と、「請け負っている会社の社長が外国人だから、日本の文化財の事には責任感がないのだ」という意見だった。
この手の意見を出すならば最低でもその人の人格や、文化財修復を行うシステム位は理解して発言しろと。

「だったらお前は解ってるのか」という意見もあるだろうから少しだけバラすけれど、私は某文化財の管理責任者という立場であり、実際に修復工事現場の当事者だった人間である。そして設計管理の技術者の方達や各地の施工会社の職人・大工の人達との交流もある。
だから、こと文化財の件では決して無責任に発言などはしない。
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先ず私が主張するのは「職人が自分勝手に彩色修復をやれる訳がない」という事。
基本的に色々な文化財の修復を行うにあたって修理計画というものを立てる。当然所有者はズブの素人である場合が大半だから、専門家を擁する会社組織・行政の外郭団体などに依頼する。まあこの段階の設計書は基本的な修復方針と設計図、それに掛かるであろう費用の見積りで出来ている。そして多くは国指定の重文・国宝であろうから、国費からの補助金申請のために見積書はかなり詳細に作られる。

この後工事の仕様について所有者と設計管理者が細かく詳細を詰めて、施工業者を多くの場合入札によって選定して工事に着手する。各々との契約を取り交わすのは当然の事。
実際に作業に従事するのは職人・大工であるが、工事の進捗は設計管理者が細かくチェックを入れていく。この段階で不出来なものはやり直しとなるはずである。
また重要な部分については設計管理者だけでなく施主もチェックを行う。
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彩色の現場については以前の記事にもしたけれど、復原原図を描いてそれに沿った彩色を施工する。だから職人が何の根拠もなく勝手にド下手な彩色をしたなら、かなり特殊な事例というか普通あり得ない話なのである。
設計管理者だけでなく所有者までド下手を許可するなど。

もう一つの「請け負った会社の云々」であるが、これはハッキリと会社と個人への誹謗中傷である。以前の記事でも触れたが文化財彩色の老舗でもある小西美術工藝社の現社長は、ゴールドマンサックスの投資アナリストだったデービット・アトキンソンさんである。
この三猿の修復について小西美術工藝さんが担当していないにも関わらず、上記のような流言飛語が書き込まれてしまう訳である。
これはハッキリと事実と違う。

という訳で多少私と縁のある窪寺さんが、朝日の記者と現場を見分しに東照宮に行った時のことが記事になってるので、下記リンクを是非ご参照頂きたい。

小西美術工藝さんについては別項で述べたいと思う。

☆withnews「下手すぎてワロタ」批判の日光三猿 でも…「本当の姿」って何?
https://withnews.jp/article/f0170904001qq000000000000000W05x10201qq000015445A

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コメント(6件)

内 容 ニックネーム/日時
 なるほど、勉強になりました。

 問題の猿の顔が修復のつど微妙に変わる、というのはTVでも紹介されていたような気がします(どこの曲かは忘れましたが、今年に入ってからだったような気が……)。

 無責任な批判は論外ですが、一般論として「もののサイズや見られる距離」も考えに入れる必要があると思います。

 極端な話をすれば、富士山だって登ってみれば石ころだらけの山肌が美しいわけはないし、月はうんと離れて見るから美しいに決まっています。適当な距離から鑑賞して美しければいいわけです。

 ふつう門の下からある程度の距離を置いて仰ぎ見る猿は、その距離なりに鑑賞すべきものだと考えます。

> いざ、本物を見ると、余りの違和感のなさに驚きました。でも、撮った写真を会社に帰って拡大すると、やっぱり奇妙な感じです。

という、ご紹介された記事から引用した文章は、その間の事情を物語っているのだと思います。ぼくには彩色や猿の表情などの是非はわかりかねますが、実物を見て違和感がないのであれば、なんの問題もないのでは……
薄氷堂
URL
2017/09/12 22:10
まったくおっしゃる通りですね。
昨年(でしたか?)・・・春日大社の拝殿を始めて拝む機会に、その柱に塗られた本朱の色合いに一瞬違和感を禁じえなかったのですが・・・・

そのとき私が感じた違和感を突き詰めた時、それこそ自分の内なる傲慢さに気が付いて赤面する思いでした。
三友亭主人
URL
2017/09/12 22:47
三友亭主人さん コメント有り難うございます。

修復はいつの時代のものを基準にするか、常に議論になるものです。
最終的には設計管理者が提案して所有者が決めることになるのですが、一般の方から見たら以前のものと比べて違和感をお持ちになる事が多いようです。

記事にも書きましたが復原原図に則って技師が彩色をするのですが、いつの時代の原図を基準にするかで仕上がりの様子が違ってきます。東照宮の場合もそうだろうと予想はしていました。
ですが技師の技量にも問題は有ったようです。

春日大社は小西美術工藝さんの仕事ですが、これについては後で詳しく書こうかなと思ってます。

一般の方の意見も大事な事もあるんですけどね。
Nori
2017/09/13 08:36
 薄氷堂さん コメント有り難うございます。
 通知メールを見遁していたという凡ミスで、順番が逆になってしまったことをお許し下さい。

 仰有る通りサイズと距離感は大事な部分なのです。
 そして見る角度というのもありまして、この三猿の場合は下から見上げるのを前提として修復されるべきでして。

 例えば寺院の屋根などは普通に下から見れば真ん中が水平で両端だけ角度が上がっているように見えますが、近くで見るとU字型というかCを横に転がしたようなラインとなってます。
 これは人間の目には錯覚があって、水平に軒を作ってしまうと下から見たら両端が下がって見えることを計算に入れてあるからです。

 ただこの彩色技師の力量に問題が無かったかと言えば、多少の問題があった気はしております。例えば筆の使い方が少し乱暴だと。

 この辺りのことは別に書いてみたいなと考えております。
Nori
2017/09/13 11:04
以前あったスペインのキリストのフレスコ画の修復で話題になったことがあるので、ひとこともっともらしい意見を言いたいネット民がたくさんいるのでしょう。グラウンドの中に外野席があるような時代ですから。
根岸冬生
URL
2017/09/16 11:36
根岸さん コメント有り難うございます。

確かにグラウンドの中に外野席があるような状態ですよね。
それが時折根拠の無い個人攻撃になったりするのは困りもので。

文中にありますデービット氏が外国の方だという理由だけで「日本の文化財に関わるな」とか書かれてしまう訳です。だったら書いた奴はどれだけ文化財保護に貢献したんだと言ってやりたくなります。

責任を持って文化財に関わっている人間に対して、責任を何一つ果たしてないヤツが文句を言うんじゃないと。

ものを知らない人間が、ものを知らないことを自慢するような事になってきてると感じます。
Nori
2017/09/16 16:23

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