名残は尽きない ニッカ竹鶴12年

もはや平成25年も終わろうとしている。
各種メディアでは今年の出来事のランキングなどを行い、重大事件などを取り上げて一年を振り返る事も多くなっている。
確かに今年は色々と多事多彩であったが、一番耳を疑ったのは幾つかの酒が終売になるという話だった。

最初ラフロイグ10年が終売になってしまうと言う噂があって、「困ったことになったな」と思っていたのだけれども、これはガセネタであることが知れて胸をなで下ろした。
暫くして『山崎10年』と『マッカラン10年』が終売になると聞き、余りに惜しくて通販サイトの自爆ボタンをポチッと押したのだった。
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それからもう暫くして今度はこの『竹鶴12年』が終売になるという話を聞き、今度は色々な情報をかき集めて事実かどうか確かめに廻った。そしてニッカのHPにその事が載り、いつも送られてくるニッカからのメールでとどめを刺された。

以前の記事にも書いたが、私がウィスキー探しの旅に出る様になったきっかけをくれた酒である。そして家に常備していた酒であり、1000円スコッチの丁半博打に破れた時も、優しく慰めてくれた酒でもあるのだ。
いま改めてゆっくり飲もうと思い、ノンエイジものと飲み比べる事にした。

ノンエイジものも結構香り高くて良い酒だが、この12年はもっと懐が深くて厚みがある事を痛感した。
何よりちゃんとピートの香りがするのは嬉しい。このあたりはキッチリ余市の個性を感じることが出来る。そして洋梨の印象があるエステル系の香り。若干のココナッツ。

甘みはほんとにゆっくりゆっくり山を登り始める。この甘さも複雑さを持った甘みであり、山のピークあたりでは程良いビターと出会う。そして甘草(リコリス)の甘みに変化する。
味の厚みはとても厚く、コクも麦芽由来のものと樽熟成の結果と思われるもの両方を感じる。舌を刺すスパイスは穏やか。柔らかなショウガ風味。

ビターが引き始める頃に樽由来の芳香の余韻が立つ。本当に樽由来のものだと判る木質性の芳香。そしてバニラ香。結構しっかり香る。柔らかく長く尾を引く余韻。
そして飲み進めると蓄積していく色々な香りと甘み。
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この酒にニッカの創業者である竹鶴政孝氏の名を付けるのは、当然というか至極もっともな感じがする。
というのもニッカ創業の地『余市』の味がする。そして別の個性を求めて建設した『宮城峡蒸留所』の個性もしっかり感じられる。

今度のノンエイジ竹鶴がちょっと惜しいのは、余市の個性が希薄になっていることに原因があると記事にした。この12年を飲むとその事を痛感するのだ。

熟成期間が12年に若干満たない酒を使って同じものを造れというのは不可能である。
この酒を飲むとノンエイジ竹鶴の開発者達が、如何に苦労したのか伺うことが出来る。
その意味でも双方の意志が見えてくる良い酒だといえる。

無理な相談だということは判るが、少々値が上がっても残して貰いたいなあと思う。

本当に名残は尽きない。






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この記事へのコメント

  • 只野乙山

    こんにちは! 〈竹鶴〉と〈竹鶴12年〉を飲み比べると、その違いが本当にわかるように思います。竹鶴に限らず、他のウィスキーでも飲み比べてみると違いがわかるので、ついつい、まだ残っているのに他のウィスキーを買うはめになるのです。
    仰るように〈竹鶴12年〉が販売終了になるのは残念ですね。10年物がなくなるというのはまだわかるのですが、12年物はまた違うでしょうに。いい酒は、なぜかなくなっていってしまうものですね。他のいいものがなくならぬよう願うのみとなってしまいました。
    2013年12月23日 09:44
  • Nori

    乙山先生 コメント有り難うございます。

    竹鶴12年については以前にも記事にしたのですが、当時より色々と感じる部分が多くなってきましたので、再び取り上げることにしました。
    これが終売になってしまうのは本当に残念です。

    竹鶴12年の良いところは費用対効果の優れた部分だけでなく、個性的な2つの蒸留所を表現したところにあると思うのですが、ノンエイジはそれが希薄になっていて一寸残念であります。

    正直な商売をしていれば良い原酒が確保出来なくなってくるのは仕方の無いことだと思いますし、内緒で中身を変えられるよりは良いのかななんて思ったりもします。

    ただ返す返すも残念だと…。
    2013年12月23日 09:55
  • RERA

    個人的に、竹鶴12年は安く値段をつけすぎたように思えます。それは17年にも言えます。
    ブレンデッドなら納得できるものの、12年物のヴァッテッドモルトで2000円台はスコッチでもありません。バランタインのピュアモルト12年が3000円台ですからね。

    いままでウイスキーファンはぜいたくをしすぎた、と思いましょう。
    2014年06月06日 00:50
  • Nori

    RERAさん コメント有り難うございます。

    この酒は以前から費用対効果が高いと言われてましたよね。
    このレベルの酒を他に求めようとすると、スコッチでは3000円前後のものとなってきますし、サントリーだったら6000円程度のものを買わなくてはなりません。

    この酒をスタンダードにしていた人達にとって終売は断腸の思いでしょう。
    私なんかは値段が上がっても、この味わいを残して欲しいなと思っている訳です。

    結局はヒュアモルトの黒とか白とかに移って行くのだろうと思いますが、それとていつまであるか…という感じがしています。
    2014年06月07日 20:21
  • つっち

    先日、仙台のニッカ工場に行って来ました。
    宮城峡12と鶴17とリタハイボールを無料で試飲できました。
    あいにく有料試飲はやってませんでしたが、特別にシングルカスク19というものを試飲させてくれました。
    これは先ずヨーグルトのような香りが立ち、口に含むと角のない丸いビターとたおやかな甘味がゆっくり広がります。華やかさや燻煙香はさほど現れず、旨味の層の奥から樽香が感じられる印象でした。
    でも実際のところはほんの1口(恐らく10cc 弱)の上、その場の高揚感とうろ覚えも絡んでいるのでこのインプレは話半分ということで(汗

    閑話休題。その特別試飲の際に竹鶴12年の話を切り出したところ、なんと土産コーナーでまだ販売しているとのことで、早速地方発送しましたヨー!
    今回はつくづく僥幸でした。
    2015年05月05日 14:06
  • フェイク

    竹鶴、竹鶴17年、竹鶴21年を購入しました。
    以前日本酒で、ある銘柄の百寿、千寿、万寿を買い、高い方から飲んで、大失敗。
    万寿は文句なしに旨い。千寿はまぁまぁの味、百寿は…飲めなかったです。
    で、今回は熟成度の低い方から飲んでいこうと思った次第です。
    竹鶴25年は…ちょっと手が出ない値段で諦めました。

    キングスランドが、まだ相当余ってますので、それを飲み干して竹鶴に進むつもりです。

    楽しみが増えました。
    2015年05月18日 15:24
  • Nori

    つっちさん コメント有り難うございます。
    諸般の事情でコメントが遅れました事、大変申し訳ありません。

    お話しをお伺いするに、宮城峡のシングルカスクはとても良い様ですね。派手なものは無いけどしっかりと樽の香りがする酒というのは私好みの酒ではありませんか。

    そして竹鶴12年がまだ売っているというのも朗報ですね。もちろん鶴17年が試飲出来るというのも凄い事ですが。

    残念ながら今常飲しているのが抗生物質の錠剤でして、仕事と身体の方が一段落したら是非訪れてみたいですね。
    2015年05月20日 09:29
  • Nori

    フェイクさん コメント有り難うございます。
    無精な返事をして大変申し訳ありません。

    竹鶴シリーズも良い酒ですよ。
    17年から上はそれこそ華やかな感じが落ち着いて、しっかりした樽の風味を味わえる旨い酒だと思います。

    私も一時期個性の強い酒を飲んでいたお蔭で、他の酒の細やかな機微に触れられなくなっていた時期があります。穏やかなものから個性の強いものへ移る飲み方が理想でしょう。

    ノンエイジの竹鶴もなかなかに旨い酒ですよ。
    私も真価に触れるのに結構時間がかかりましたけど。
    そして折角3種あるのなら、飲み比べをするのも面白いですよ。

    とか言ってて私も飲みたくなりました。
    今は錠剤を最優先で飲まないといけないんですが…。
    2015年05月20日 13:41