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zoom RSS 雲井の桜咲きにけり

<<   作成日時 : 2014/05/13 07:00   >>

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この間から吉野に行った事を書き続けた。
色々と書き続けてはいるが、結局奥様と2人で出かけることが主目的であった。
何と言っても2人切りで家の中にいると、相手の考えていることがよく観察出来て、気分転換をさせてやった方が良い様に思えたからだ。
但し、奥様が同様に私のことを考えているかどうかは定かではない。

前回の記事で『日本史上に吉野の名は、大きく日本人の感情を揺さぶるものがある』と書いたが、実はこの言葉は私の大学の恩師のセリフを借りたものである。
その先生は普段はとても優しく、取るに足らない学生の質問にも丁寧に応対して下さる方だった。でもその授業はとても情熱的で、学生達もグイグイと引き込まれていったのだった。それでいて学内の毀誉褒貶には極めて恬淡だったのが性格の高潔さを表しているようで、松下村塾の弟子達が松陰先生に接するように生涯の師として慕っている学生達も多かった。
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そして先生は私達の卒業に際して、幕末維新の志士たちは皆会沢正志斎の『新論』を懐中していたという話を例にとり、「皆さんも自分なりの最上の一冊を懐にしてください」と私達を送り出して下さった。その時うっすらと涙が浮かんでいた先生のお顔を今も忘れない。
因みに自慢ではないが、私が優秀な弟子ではなかったことは言うまでもない。

吉野に向かう道中何故かずっと、先生の言葉を色々と思い出していたのだった。
吉水神社を訪ねた時も色々と胸に迫るものもあったが、奥様と一緒だったこともあってそんな感情は表に出さないようにしていた。まあ興味のない人間にとっては退屈極まりない話には違いないから。
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お参りの後で書院の拝観をしようと思い奥様に尋ねたら、特に嫌な反応でもなかったのでそのまま一緒に入った。時折私の歴史解説と建物の説明にもアクビ一つ無く、素直にウンウンと頷いていることに少々驚く。普段他人の話なんて聞かない人間なのに。

後醍醐帝の玉座やら色々な展示物やら見学した後で中庭に回る。
後醍醐帝の『例え朕の身は滅びても、魂はつねに北闕の天をのぞまん』という有名な台詞を思い出しつつ色々と撮影を。
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南北朝の歴史の取り扱いが難しいのは、戦前戦後を通じて色々な扱われ方をしたからだと思うが、太平記は戦意高揚の書でもないし、当然皇統の正当性を議論する書物でもない。ましてや後醍醐帝の政治的意図を議論する書でもない。
私は建武新政の成立と南朝の凋落の狭間で活躍した方々の行動哲学は、時代を超えても変わらない何かを伝えてくれていると思うのだ。護良親王や楠正成や村上義光の行動を見て、内心から湧くプリミティブな衝動はどんなものなのか。
これは古事記や万葉集と同じく、現代の価値基準で読むと絶対に理解出来ないことなのだろうと思う。

ウチの奥様はいみじくも「可哀想だ」という感想を持ったらしい。私は以前から人間の生き様というのは大切なのだと学んでいる。
奥様が訳知り顔で評論家気取りの意見でなく、とても健全な考えを持っている事が嬉しくて「来て良かった」と正直思った。
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そんなこんなで茶屋の片隅で葛餅とお茶で一息つき、吉野神宮に参拝を済ませて帰路についた。当然当初の目的であった土産物を取りこぼすことはない。

因みに帰宅してから柿の葉ずしと葛餅に舌鼓を打ちながら、今回の小旅行の事をじっくり奥様と楽しく語り合ったのだった。

たまにはこんな休日も良い。




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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
私は長いこと奈良に住んではいるんですが、吉野の桜は未見で・・・
一度、その季節に行ったことはあるんですが暗くなってから宴会に出かけたものですから良くは見ずに帰ってしまったもので・・・

さぞや美しかったでしょうね。

どうも、あの時期の混雑は苦手でついついおっくうになってしまうんですよね。

でも、さぞや見事だったでしょうね。
三友亭主人
2014/05/14 07:52
三友亭主人さん コメント有り難うございます。

私達が行った時には写真の八重桜だけが残っていて、殆どが葉桜となっていました。花がまだ咲いている時期だとそんなにゆっくりしていられなかったと思います。
駐車場料金も花の時期に合わせた金額だったので、「京都の祇園よりも高い」と少し驚きました。

咲き始めの頃だとまだマシなんでしょうが、最盛期だと桜よりも人を見に行くような事だったと思います。
何と言っても金峯山寺の人達が「青葉を見に来た方が良いですよ」と言われる位ですから。

桜よりも注文してから作ってくれる葛餅を、時間が無かったばかりに食べそびれたのは断腸の思いでしたね。
Nori
2014/05/14 18:10
僕は、この話題だと柿の葉寿しに反応しちゃうんですよね。
大坂支局に三年務めて、広島であなご飯、小田原で小鯛雀寿し、
新大阪から乗る時は柿の葉寿司でした。

きっと、ここのブランドに意味があるんでしょうねえ。
根岸冬生
2014/05/15 11:49
根岸さん コメント有り難うございます。

柿の葉ずしは抜群に旨いと言う訳でも無いのですが、時折妙に食べたくなる時がありますよね。
高速道路のSAにも置いてあったりしますので、見かけたらついつい買ってしまいます。

以前関東で生活をしていた時、上越新幹線の五色寿司とか横川の峠の釜めしを買ってましたね。
今思うとそれほど旨かったかどうかは定かではありませんが。
Nori
2014/05/15 16:47

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